uirouのひとりごと

不定期に何か書こうと思います。

Entropia Universeは犯罪を犯しているのかの巻

リアルとバーチャルの等価交換だと?(3)にて、triconf blogさんからの先日のEntropia Universeはねずみ講かの巻のエントリへのお返事を頂いていたまま、長いことお返事を書いていませんでした。すみません。

さて、いきなりですが、長いこと返事を書いていなかったので話を整理する目的で、現在の議論の前提を確認してみようと思います。

Entropia Universeのしくみ

私が理解しているEntropia Universeでの通貨に関する情報は以下の通りです。

  • ゲーム内通貨(PED)と米ドルに相互に交換できる。この交換レートは1ドルが10PEDだそうである。ただし、PEDからドルへの交換にはいくらかの手数料がかかるらしい
  • ゲーム内でPEDが生産されることはなさそうである。ゲーム内で採集するなどして得られたアイテムはNPCに売ろうとしても 0PED でしか売れないという情報からそう判断した
  • ゲーム内のNPCからは、PEDを使って物を買うことができるようだ
  • ユーザが持っているPEDを増やすためにはユーザからPEDを受け取る必要がある。実際にゲーム内で採取したアイテムを買い取るPCが居たり、PEDを貰うことでメンターを買って出る人もいるらしい
  • ゲーム内でのユーザ所有しているPEDやアイテムは盗まれることはないらしい。PEDなどを他人から得るためには、盗むなどといったシステムが用意されてはおらず、きちんとした手続き(トレードなど?)が必要のようだ

また、ゲーム内に存在するPEDはユーザが米ドルを投入した金額分しか存在しないと考えられます。これは、10PEDに対して1米ドルを用意しておかないと、ユーザがPEDを米ドルに変換しようとしたときに変換できなくなってしまうことからです。この、いつでもPEDを米ドルに変換することができるという前提が崩れないためには、ゲーム運営会社はゲーム内でPEDを発行してはなりません。なぜなら、ユーザが米ドルを使って手に入れたPEDに対する米ドルはありますが、運営会社が発行したPEDに対する米ドルは運営会社が用意しなければならないからです。したがって、運営会社はゲーム内ではPEDを発行しないと考えられます。

私はEntropia Universeをプレイしているわけではないので、間違えている可能性がありますが、ここに上げたことを前提として話を続けたいと思います。

議題

この議論の議題となっている点がどこにあるのか私は理解できている自信が無いのですが、

  • Entropia Universeの仕組みはねずみ講に近い。その問題はPEDと米ドルの等価交換が原因である。→ ねずみ講は犯罪なのでよろしくない

ということだと思われます(これで間違えていたら教えてください)。これから、この議題の出発点はいEntropia Universeの通貨システムは犯罪行為っぽいから駄目だ、というところだと思います。犯罪なのであればそれは駄目なのは当然です。そこで、どの部分が犯罪行為になっているのかを理解するのがこの議題の中心だと考えます。ここで、私の立場は、ゲーム内通貨と現実の通貨の交換というEntropia Universeのシステムは犯罪行為を行っていると思っていないというもので、triconf blogさんはそれは犯罪行為であるという立場だと思います。このとき、triconf blogさんは犯罪行為であることの理由としてそれはねずみ講に近いから犯罪なのだ、という事が論拠であると私は理解しています。

Entropia Universeはいかにして犯罪を犯しているのか

したがって、次にEntropia Universeの仕組みがどのようにねずみ講(犯罪)なのかを確認したいと思います。triconf blogさんのリアルとバーチャルの等価交換だと?(3)のエントリにてかかれている例で考えると、従来型のねずみ講との違いは親と子の関係が子の部分ではメッシュ構造になっているところが違うようです。triconf blogさんの説明の、新しいねずみ講を説明している部分を参照してみます。

全体としてみれば、「親(全体の仕組みを完全に把握しており、決して損することがないレイヤ)」と「子(まず親から元ダネを購入しなければならず、利益を得られるかどうかについては非常に不安定な立場にあるレイヤ)」の2レイヤに分けられる、という点については、まさしくねずみ講そのものの構造になっています。

ここで上げられている親と子の関係は、私には競馬の胴元と参加者の関係に見えます。胴元は参加者の払ったお金の上前をはね、参加者は掛け金というお金を投入することで他の参加者からの投入されたお金を取り合うというものです。この親と子の間には公平な立場は存在しません。私はそれでもかまわないと思いますし、実際に競馬はそれで運用されています。Entropia Universeのシステムはもちろん競馬とは違いますが、上の例で挙げられている親と子の関係の不公平さは競馬と同じものだと考えてよいと思います。おそらく、MindArkはそのようにして子からの上前を跳ねて利益を上げているのでしょう。また、このような不公平な親と子の関係というものはギャンブルなどの胴元と参加者以外にも存在すると考えます。たとえば はてな のポイントシステムや、航空会社のマイルなどのポイントです。これらはポイントなりマイルなりを発行している会社と、それを使うユーザとの間には絶対的な不公平があります。また、はてなのポイント は人力検索などをしてポイントを取り合うこともできますし、航空会社のマイルも他人に譲渡できることからネットオークションなどで売り買いがされていたりもします。このような例があることから、親子の関係が不公平であることは犯罪行為であるとは私は思えません。もちろん、子供同士でのPEDのやりとりについては、triconf blogさんのおっしゃる通りメッシュ構造をしているので、これもねずみ講であるとはいえません。したがって、ここで上げられた説明からではEntropia Universeのシステムはねずみ講とは言えないと考えます。

Entropia Universeは情勢不安定な国ではいけないのか

次に、Entropia Universeが情勢不安定な国だとしたらどうでしょうか、という私の問いかけに対する答えについて考察したいと思います。この節でtriconf blogさんのおっしゃっていることは要約すると以下の二つになると考えます。

  • 情勢不安定な国の通貨(A)と安定な国の通貨(B)との為替レートを固定相場にしたら、BをAで買う人は居るだろうけれど、AをBで買う人は居ない → それができてるなんておかしいよね
  • PEDの総量(Aの総量)が少ないとゲームにならないので運営会社はユーザにAをBから買わせようとするだろう → そんなことは不健全だ

これらの項目には私は異論があります。それぞれについて少し私の意見を書いてみます。

AをBで買う人は居ない

本当でしょうか。そもそもAをBで買う人が存在しなければ、BをAで買う人は存在できません。また、AもBも当面は破綻して紙くずになるようなことがないとの仮定を置いたならば、Aでお金を持っていても、Bでお金を持っていても、AとBは等価で交換できるのですから、Aでしか買えないものが欲しければAに変換し、Bでしか買えないものが欲しければBに変換することで目的のものは買うことができるはずです。もちろん、これはAもBも当面は破綻しないことが前提ですが、Entropia Universeは一応何年かは破綻せずに運営を続けていますから、それを理解したユーザがBからA、すなわち米ドルからPEDへの変換を行うということは問題ないと考えます。

Aの総量を増やすため、ユーザにBを使わせるのは不健全だ

これについては私はコメントできません。不健全だと考える人も居るでしょうし、そうは思わない人もいるでしょう。私はゲームを面白くするために必要なのであればユーザにはある程度のBを払って欲しい、と思うかもしれません。詳しくはわかりませんが、競馬などでも賭ける人が少ないレースよりも賭ける人が多いレースの方が面白い、という事があるそうです。方向性としては、一人のユーザに多くのBを払わせるよりも、多くのユーザから少しづつのBを払わせるというのが良いかな、と思います。

落ち葉拾い:予想されるツッコミに… への突っ込み

このあたりで書かれている事は自分的にはほとんど気になりませんでした。ただ一つ言わせて頂くと、私は文章の書き方一つ程度で簡単に勘違いをしてしまいますので、議論のような場においては「w」を使用するなどといった砕けた書き方をされる場合には注釈を入れるなどしていただけると嬉しいです。